2006/03/06

Dominus mecum...

【8日】「“ネオ・ヤポニカ種”が絶滅の危機」

絶滅危機種に指定されているネオ・ヤポニカ種の交配に失敗し続けている泥国アカデミー(Academica Dei Cosmopolitanicae)のクシェストフ・バープキン博士研究チームは7日、今後の対応策を協議した結果、2512年以来100年近く継続してきた「ネオヤポニカ・サルヴェーション計画」(通称ヤポサル)を来期でもって放棄する発表を行った。



バープキン博士の談話
ー現時点において自然状態での同定が可能な「ネオヤポニカ」種の半分以上は、2403年以降の急激な寒冷化に伴ってその定住圏を東シベリアへ移動させています(咳)。しかも、その多くがすでにオス化してしまったたメスという有り様です(笑)。これまでに観察されているデータから推定しますと、すでに性変異段階に入った群種が再オス化する可能性は0.000000000000001%の確率ということが言えるでしょう(冷笑)。この話と直接の関連性はまだ確認されていませんが、去年末にはこれまで学会で否定されて続けてきた「レミング」型集団自殺を証明する実例がチャイニーズ=チベタン科学アカデミー(通称チチアカ)によって公式に発表されました。レミングとは、いわゆるタビネズミのことですが、この生態現象は個体数調整を行うために個体群が集団自殺するというもので、進化生物学史上の神話的仮説として登場して以降、まだ19世紀的呪縛から逃れていなかった生物学者を捉えた時期がかつてありました。その後、遺伝子中心主義の時代になり、完全に無視されることになりますが、ここ数年、ネパール帝国アカデミー(略称ネアカ)からの新たなデータが収集されたことで、にわかにまた脚光を浴び始めていました。この集団自殺によって完全自滅してしまったのはネオヤポニカ亜種の「ネオオサカーンス」です。この亜種はもともと「笑動物」という異名をもち、北半球コロニーの生物学教科書では必ず「お笑いコラム」に紹介することが各国アカデミーでは義務づけられています。ですから、言葉遊びになって恐縮ですが、この亜種が絶滅してしまったことでわれわれの「笑いの種」がなくなったことは大変悲しいことです。(博士はここで喉を潤そうとしたが、笑いがこみ上げてきたためにインタビュアーの顔へ放水)...とにかく、亜種のネオオサカーンスによる自滅行動とネオヤポニカのメス化とのあいだに遺伝子レベルでの関係がないかどうかを今後も静観していく必要はあるでしょうが、「ヤポサル」を継続する気はもう全然ありません。年間5億ドルの大枚を叩いてエコ・コイトゥス(第5世代人工発情装置)を再三購入してまで、漸次野生化するサピエンスを救済する計画には泥国国内からも非難の声がそろそろ絶えなくなってきていますから。



サイエンスライターのマジック・ベンジャメン・ロヨラ・サールズベリー牧師のコメント
ーまあ、人類にとって「笑いの種」がなくなるというのは、「失笑」ものかな?
Dominus mecum!


インタビュアー:サー・スチュワート・カンタベリー特派員(2612年タンゴの節句に「イヒヒ」と笑うところを記念撮影、写真右)
写真協力:スー・フランソワ・バトラー宣材写真本舗